朝、携帯の音で目が覚めた俺は、ふと隣を見やった。そこには気持ち良さそうに眠る子猫ちゃんがいて、俺は起こさないようにシャワールームに入る。
外はまだ完全な闇が空を支配していた。油断していると暗黒の海に吸い込まれてしまいそうだ。俺はおもむろにコーヒーを飲み干し、『約束の場所』へ旅立った。部屋を出る間際、俺は寝ている子猫ちゃんに問いかける。
「君は、なぜ生まれて来たんだろう・・・」
『約束の場所』へたどり着いた俺は、周りを見渡した。しかしそこに人影は全く見えない。空もまだ闇に覆われて、自分の姿さえ無くなってしまうほどに暗く冷たいものだった。なんてこった、せっかく『約束の場所』に来たってのに、誰もいやしない。俺は自分が孤独なんだと認識した。そして俺は裏切られたんだと思い込んだ・・・
「いや、何か違う!」
急に直感が働いた俺は、ずっと左のポケットに入れっぱなしだった腕時計を思い出した。きっとこの答えはここにある。そう確信してその腕時計を出し時間を確認した。そして、俺は気がついてしまった。『約束の場所』に誰もいない訳。闇が空を支配していた訳を・・・
「ヤベ、時間間違えた。」
二日目は朝からスカイダイビングに行く予定で、集合が7時だったのですが、間違って6時に待ち合わせ場所に来てましたとさ。とまあ、そんな訳でハワイ二日目は寝坊ではなく、早すぎた起床をしてしまいました。携帯の目覚まし機能を使って起きたんですが、時差を間違えて朝6時に起きたつもりが5時に起きてたんですね、道理で外はまだ暗い訳だと。しかもわざわざアイツを起こさないように来てやったのに、このザマですよ。こんなことなら一回部屋に戻って、存在理由の分からないアイツの息の根を止めてやろうかとも思いました。仕方ないので、ゲームボーイミクロをやって時間つぶしをすることにしました。
しばらくして、だんだん外も明るくなり人が結構出てくると、誰かが日本語で叫んでいることに気がつきました。
「丸山さーん。いらっしゃいますか?」
おや?丸山?
先ほどから叫んでいる男性は、丸山という人間を探してるようでした。
私には、丸山という人間に心当たりが有りました。うちの会社には丸山という人間が二人居ます。一人はこの前結婚式を挙げた先輩丸山。もう一人は専門学校の同級生で、再来週結婚式を挙げる友人。しかも二人とも私とタメ年で、今日は4人くらいでスキューバダイビングに行くと言っていたような気がする。携帯で先輩丸山に電話をしてみると電話に出たのは、サトシのほうでした。試しに今日の予定を聞いてみると、案の定、さっきの男性が探していた丸山ってのは、うちの先輩のことでした。しかも友人の話だと、もう集合時間だってのにまだ 起きてない。とりあえず起こすように彼に伝えると、私は走ってさっきの男性に、もうちょっと待ってくれと必死で懇願しました。なんとか男性は待ってくれることに。
しかし待てども待てども、彼らはやってこない。20分後くらいにやって来た4人組は最低最悪のコンディションでした。先輩丸山は完全に酒が抜けてない。っていうか、ヨッパッラってる。友人は「誰も起きない」とカンニング竹山ばりに怒ってる。3人目はまだ眠そうだ。そして最も最悪なのが4人目。なんと彼は、痛そうに耳を押さえてるではないか。よくみると血、血がでてるよ、おい!あとで聞いた話なんですが、こいつらは夜中に酔ってプールに行き、飛び込みをやっていたら、角度が悪くて耳を水面に殴打。結果、流血に至ったという。ハワイまで来てなんてアフォな奴らだ。ちなみにこの日の午後、医者に見てもらったら鼓膜が破れていたらしいが・・・。彼らはそんな状態でスキューバダイビングに向かいました。
私のほうもすぐに迎えが来て、車で飛行場まで移動しました。移動はワゴン車で、各ホテルのツアー客を拾って行きました。私は一人での参加だったのですが、各ホテルから乗ってくる奴らはほとんどが女の子で、車の中はちょっとしたラブワゴン状態ですよ。しかし私は会話をする気は全く無く、気がついたら眠っていました。でも、途中で「この木なんの木?」でおなじみのモンキーポッドを見ることが出来ました。
飛行場についてから、ビデオをみたりスカイダイビングの注意を受けたりして、契約書を4枚くらい書かされて、ついに本番。飛ぶのは初めてかと聞かれたので、私は2回目であることを告げました。すると突然、周りの女の子の目がウルウルしながら私を見ているではないですか!「初めての時ってどんな感じですか?」とか「怖かったですか?」等聞かれました。まるで処女にでも戻ったかのような質問に対して私は紳士的に答えてやりました。
「あの程度のこと、たいしたことは無かったね。」
かなり決まってしまった。「スゴいですね!」なんて言われたもんだから私はすっかり有頂天に。こりゃみんなお持ち帰りでベットインか?と淡い期待をもったまま空に挑みました。とりあえず人数が多すぎて4人ずつしかセスナに乗れないので、順番待ち状態で待機です。私は撮影を依頼したので専属のカメラマンが一緒に飛びます。ちなみに、今回のスカイダイビングはタンデムダイビングと言って、後ろにインストラクターがついてパラシュートの操作等をしてくれます。私の相棒はマイケルと名乗りました。マイケルっていかにも「外人です」みたいな名前ですよね。しかも日本語で後ろから「ダイジョウブ?ダイジョウブ?」何度も聞いてくるちょっとウザイヤツでした。
そしてハワイ上空4000M。
空から見るマウイ島はとても奇麗で、ダイアモンドヘッドも小さく感じました。海も青々としていました。順番は私が3番目です。他の2人が次々に飛び降りていき、いよいよ私の番。
まずカメラマンがセスナの外に出ます。まだ飛び降りずに私のスタンバイを待っていました。さすが二回目ということもあり結構落ち着いていましたが、下を見ると胸が高鳴ります。そして3カウント・・・飛んだ!

自由落下時間は約1分。しかしこの時間が意外と長い。落ちてる最中はとにかく息が苦しくてあまり下を見ないようにします。途中カメラマンを見つけた私は余裕のアロハポーズが炸裂。しっかりカメラに収めてもらえました。パラシュートが一気に開くと、落下速度は一気に下がり、景色を楽しむ余裕ができます。後ろのマイケルは相変わらず「ダイジョウブ?ダイジョウブ?」って聞いてきやがりますが、私は「ノープロブレム」と言ってやりました。するとマイケルはいきなりアクロバット飛行を始めました。それがかなり楽しいんですが、パラシュートのせいで自重が全て股にかかってくるんです。最後の方はその痛さでたまりませんでした。早く陸に着いてくれと何度思ったことか。
無事に陸に着地した私は、マイケルとハイタッチ。マイケルは英語で何か言ってましたが、分からないので「グッジョブ!」と言ってやりました。最後にチップを払って飛行場をあとにしました。
スカイダイビングの動画はこちら。
つづく。




















